2023年を振り返る
2023年の菅野農園を振り返る
2024年を迎えました
2023年の天候
福島県伊達市霊山町にある当園
冬は積雪があったが日中の気温が高く雪解けが進んだ
春の訪れが早く開花時期と霜の時期が綺麗に重なった
夏の最高気温更新と連日続く猛暑
秋の訪れが遅く季節外れの真夏日
2023年、年が明けて十分な積雪があった
剪定作業するには少し厄介な積雪ではあるが、土壌水分を確保するための大切な積雪
雨が降れば良いという訳ではなく地面に染み込む雪解け水がポイント
桃、りんご、桜桃(サクランボ)の剪定作業は3月には無事に終了した
2023年は大きく改植をした園地はなかった
ただ趣味として数本新たな品種を植えてみた
春の訪れが早い気がしていた訳だが、やはり早く訪れた
平年に比べ10日以上早い開花となった
桃、りんご、桜桃と共に開花が早まった
そこで警戒しないといけないのが霜だ
霊山は意外と冷え込みが強く氷点下へ
雌蕊(めしべ)が凍害にあってしまった
桃で5割以上、りんご9割、桜桃8割の被害にあった
今後の栽培に不安を抱く
4月には思わぬ降雪もあった
桜桃の成長と合わせ高温な気象が目立った
桜桃は、乾燥に弱く高温では果実が潤んでしまい、味が乗る前に収穫しなくてはならない
発送後の傷みも増える
昔はなかった6月から30℃超え、考えられない
桜桃の収穫量も霜の影響があり少量となった
よかった点は、ふくしまフェスタで恵比寿ガーデンプレイスに販売に行けたこと
初めての桜桃の県外での販売
桜桃のイメージがない福島から販売に行ったが売れ行き良好だった
7月8月と35℃を超える猛暑日が数日にわたり続いた
それに加え雨量は非常に少なかった
日川白鳳、暁星、あかつき、川中島白桃、黄金桃、幸茜、さくら白桃
メインとなる品種全て数が少なく果実自体は大玉となった
雨量が少なかったが果実数が少なかったため玉は張った
それに伴い、干魃だったため糖度がのり下がることはなく
食味良好だった、他の生産者は過熟果が目立ったようだが、障害果が多い年だったため
過熟になったのではと考えられる
需要の多いあかつきではご注文を断ることになった
夜温(やおん)の下がりも悪く着色不良だった生産者がいたようだ
気温35℃を超えると植物の成長も止まってしまう
植物も人間と同じ生き物、生きていくためには休まなくてはいけない
今年はあぶくまフェアにお誘いをいただきふくしま観光物産館コラッセでの販売会を3日間実施
販売品種は、幸茜、さくら白桃を販売した無事完売となった
翌週には、まるごとふくしまで東京有楽町駅前広場で農産物販売
さくら白桃をメインとした販売、500g超えの果実だけをスペシャルな商品として販売した
こちらのイベントでも良い感触を得ることができた
2つのイベント販売を成功させた立役者がクボタのフルーツセレクター(K-SS900LC)だ
これは果実の糖度を測定する機器だ
非常に高額な機器で個人農家として所持する農家は少ない
糖度を測定することにより良質な商品を撰果できると共に、消費者にも味わっていただける
同じ畑、同じ木から収穫できる果実でも1つ1つ糖度も味も香りも硬さも全て違う
そんな果実を糖度表記による商品価値のアップ、付加価値をつけ販売したいと思った
ただ、「甘くて美味しいですよ」だけの言葉だけではなく保証できる商品が生まれた
これが2つの販売会でいい結果となった
糖度自体は甘さであって果実の食味品質全てを保証するものではないが、購入するきっかけやおいしさの目安の1つとして消費者に選んでいただきたい
自分の作った果実であり、地域、福島の果物のイメージアップにも繋がる事を願っている
面白い機器を手に入れた
残暑が厳しく稲穂が薫る9月10月でも高温
11月になっても冷え込む日が少なく日中は暖かな日が続いた
りんごは着色せず、軟化した
それに加え、なぜか多かった鳥の食害、スズメバチの飛来
障害果が多く、販売できる果実が激減した
りんごは暑さに弱い作物だ、干魃もあり生理落果も多かった
地面に落ちたりんごは温まりまるで出来立てのアップルパイのようだった
酸の抜けは早く甘味の強いりんごが採れた
しかし、多くのお客様にご注文お断りする形となった
ここまで厳しい環境、栽培に困難を強いられたのは初めてだ
気温の上昇はこれからの課題だと思っていたが、開花を早めるだけでなく高温障害にも着目していかなくてはいけない
低温も高温も気にしながらその時の条件に合わせた栽培方法を常に見つけていく必要があるようだ
父の代からりんごは霜対策をしていたが、桃は対策をしなくても大丈夫だった
しかし今では桃も霜を気にする必要になった
桃は低温に強いとされていたが2021年に今までにない凍霜害にあった
そして2023年も凍霜害にあった、他の地域では目立った被害がなかったため大きな騒ぎにはならなかったが場所によって甚大な被害だった
東北のりんごの産地でも低温と高温の被害が目立った
このままでは福島でのりんごの栽培は厳しくなってしまうのでないだろうか
福島のりんごが幻となってしまうのか、福島産りんごが食べれなくなる日が近い!?
2023年を振り返ってみたが今までにない悪い結果となってしまった
果樹農家を営む経営者に話を聞いてみたが「今年のような年は初めてだ」という言葉が多く聞こえてきた
2024年を迎え、剪定作業を淡々をこなしているが
今のところ積雪不足であるので1つとして干魃を心配している
開花期までに土壌水分をしっかり確保したいところだ
今年はどんな農業が待っているのかどんな果実と出会えるのか不安であるがワクワクも大きい
課題だらけだから面白みがある農業
ご期待にお応えできるよう頑張ってまいります